チキンレース
名古屋に大敗を喫して尻に火がついたどころじゃない、現時点での自力優勝はなくなった。そしてこんなときに山形。関西からはなかなかサポも行けない。じゃあ誰が行くんだ。関東在住者でしょ。渋谷のESTADIOになんか行ってる場合じゃない。行くっきゃない。やるっきゃない。
山形はすでに秋。小雨降るなか木々は赤に黄に色づいている。山を見れば雲が低く垂れ込め、もう一雨きそうな空模様。
ガンバは首位の柏との勝ち点差が2。ガンバ勝ち、柏ドローでも得失点差で首位に立てるポジション。追ってくる名古屋との勝ち点差は1。今節含めて残り5試合。ここからはチキンレースになる。すなわち我慢できず崩れたところが優勝戦線から脱落する。
そして今節の対戦相手山形はまた別のチキンレースの参加者。こちらは残留争い。山形はかなり望みが薄くはなったもののまだ残留の目はある。5試合で3勝できればあるいは残れる。山形は本気。こっちも超本気。優勝したい。優勝してCWCにもういちど出たい。
チキンレースに参加しているチーム同士の対戦はやはり我慢比べになる。どちらが先制するかというよりは、どちらが失点に繋がるミスをしないかである。その観点からすると、立ち上がりのガンバは危険だった。山崎に高木の裏を取られたあげく長谷川フリーにしてシュートを打たれたシーン。右サイドバックの高木のパスミスからゴール前までもっていかれたシーン。中澤が釣りだされて最後は船山にミドルを打たれたシーン。いずれも山形のビッグチャンスだったが、山形はこれらのチャンスをモノにできない。
ガンバは山形のラインが比較的高いのを見て、山形の裏にイグノを走らせ、山口からのロングフィードでチャンスを作る。するとこれが奏功したのか、それとも攻勢は奇襲にとどめる予定だったのか山形は全体的に低く構え、DFへの圧力が弱まり、カウンター狙いが鮮明になる。
そうなるとガンバの攻撃だが、遠藤と加地がいないとこんなものかも知れないが3列目からの組立てがうまくいかない。こういうときは下平といきたいが、下平はケアされていてゲームを作ることも前へ出ることもできず、無力化されていた。他方の高木はまるでケアされていないので藤ヶ谷はこちらを使うが、山形がケアしないのも無理なからぬことで、ここから縦にボールを入れた場合は二川なりスンヨンなりに二人で当たればボールを取れるし、横に出してボランチに入ったところでパスコースを切られてダメである。とうぜん高木本人が持ち上がる選択肢はない。
ガンバの中盤は攻撃を組み立てられず、山形の守備陣を前にろくにチャンスも作れないので15分くらいで早くも「お前たちスイッチ入ってるかい」とやる羽目になる。序盤は攻勢だった山形もトーンダウンして戦況としては膠着というよりも停滞。地道にコツコツ、ハードワークの根競べ。先に致命的なミスをした方が負け。
ジリジリする試合展開の中、得点は突然に。こちらからはよく見えなかった。スンヨンが高い位置で奪い、そこからゴチャッとしたなかで誰かがシュートを打ったみたいだけどボールの行方が…とゴール裏は訝しんでいたものの選手達が喜んでいるのを見てイャッホー。続いてゴールゲッター二川のアナウンスがあると「ふった~がわっ、たっか~ひろっ、ゲットゴォール!!」。とうとう先制点が入った。前半30分。
後で確認したところどうやらガンバ前線のプレスが上手く相手を追い込んでスンヨンのところで奪取したようだ。根競べに勝ったのだった。よくやった。
それでもまだ試合に勝ったわけではない。気合を入れなおすと今度はイグノ。ドリブルで持ち込んでラフィーニャとのワンツーを丁寧に決めて2点目。前半はこのまま気分よく終了。久し振りにまともに応援したので体力的にきつい。試合前から上がっていた雨がまたポツポツ来はじめるが西の空は晴れている。
後半に入ると意を決したか山形も攻勢に出る。そしてまたもや高木のパスミスからチャンスを作られる。前半のミスとこのミスは全く同質のもので、サイドバックからボランチに繋ぐところでインターセプトされている。この手のミスは失点に直結するから無くしてもらいたいのだが、そもそも高木に右サイドバックをさせるところに無理がある。ボールを預けても縦に動かないし、サイド際でのトラップミスから自陣でスローインを与えたり、あるいは2センターバックの相方にするようなパス出しをしたりとセンターバックの感覚でプレーをしている感じがする。それだけに絞ったときの対応はすごくいいが、攻撃の組み立てにも絡んでいく、ライン際での守備を全うするという部分では物足りない。
ともあれ、それでも決められないのが山形。そもそも山形は虎の子の1点を守りきって勝ち点を積むタイプのチームだから1試合平均1点の得点力を必要とするが、昨年在籍した田代はいなくなって強力なフィニッシャーを欠く状態。それがそのまま戦績に反映されているのが今シーズン。得点数22はアビスパにも及ばない。
そうしてゴールを決めたのはまたしてもガンバ。山形のCKからのカウンター。機能しなかった下平に代わって入っていた韋駄天藤春が自陣ゴール前から敵陣ゴール前まで快足を走らせイグノのクロスをゲットゴール。これで流れが決まった。コールリーダーからは「柏、名古屋、横浜が負けている」との情報も流されさらにボルテージアップ。天気のほうも回復模様。ゴール裏でもメインスタンド側には日が射している。いっぽうで真上の雲からは小雨が落ちて狐の嫁入り状態。
あとはお祭り。ラフィーニャが決め、川西が決めとFW全員がゴール。大勝。ガンバの得点に呼応するかのように天気も回復し、終わった頃にはすっかり雨も上がった。意気揚々と引き揚げ際に他会場の結果を見て軽くヘコむ。柏も名古屋も底力がある。チキンレースはまだ続く。終盤戦はこれからだ。
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