自信の在り方

 横浜マリノスは数年後に楽しみがあると思っている。テレビ観戦だったが、ナビスコ杯の広島戦、リーグの浦和戦、いずれもも若手の活躍めざましく、まだ荒削りながらもおもしろいパスサッカーをできるチームだと感じた。特に兵頭、狩野、山瀬と決定的なパスを出せて、しかもゴールも決められるMFが3人もいるのは大きい。
それだけ評価しているから、今のガンバとの力関係についてコンディション差やチームの勢い、ここ数年の対戦成績などを考慮に入れて考えると横浜にやや分があると思っていた。

 はたしてそのガンバ戦。前半は完全に横浜ペースだった。序盤はガンバが攻めるものの横浜のDFは崩れない。浦和戦でもそうだったが横浜はインターセプトの出足が鋭く、ダイレクトやワンタッチのパスをかなりの確率で引っかける。ガンバがボールを拾って二次攻撃を仕掛けても粘り強く応対しガンバの攻撃が切れるのを待つ。浦和に対しては30分掛かったこの作業をガンバ相手には20分で済ませて攻勢に転じる。

 ただこのゲームの横浜は坂田がベンチスタートで、ガンバとしてはこれに大きく助けられた。坂田のスピードで下平を狙われたら対応が難しい。また、兵頭もしくは狩野が中盤の下がり目にいないことでサイドチェンジが多くなく、それも助けられた部分だ。しかしそれでも中盤と前線が連動するプレッシングは鮮やかなもので、先制点が入る前のプレーだったと思うが、中盤のプレスに明神がたまらずボールを下げるとすかさずFWがDFにプレッシャーを掛け、同時に全体がするすると連動してラインを押し上げガンバをハーフコートに押し込んでしまった。先制の場面はゴール前で右から左に振られて最後は3列目から上がってきた松田に決められる。ピッチを横切るパスをつないでDFの首を振らせる横浜得意のパターンだ。

 ガンバはといえば、先制された後もうまくいかず、中盤でボールを回すというよりは回させられている状態で攻撃の組立ができない。横浜は6月無敗の成績から自信をつけているのかガンバに付け入る隙を与えない。ただ横浜は手を緩めたのか、先制点を奪った時間帯のような攻撃を仕掛けてこないため怖さはなく、後半に余裕を残す形で前半を終える。

 さて後半。ガンバはチョ・ジェジンに代えてルーカスを投入。バイタルエリア付近でのボールの収まりどころを作るための交代である。そして前半負けているときのガンバはいつもそうだが、いきなりの攻勢に出る。人を代え、フォーメーションを変えて相手が対応しきれない間に一気呵成に点を取ろうとの目論見だ。横浜としては対応完了するまでの10分~15分を耐え凌げばよかったのだろうが、若さが出たというべきか。

 同点のシーンは下平の頑張りに尽きる。ゴールラインぎりぎりで、田中にブロックされながらのクロスがマリノスDFの目を引きつけ、同点弾を呼び込んだ。そして直後の逆転弾は横浜GKの若さなんだろうなあ。CKに逃げておけばいいものを無理にキャッチングをしようとしてファンブル。ボールの先には詰めていた橋本がいた。簡単に逆転。

 そうしてガンバに余裕が生まれ、マリノスに焦りが生じると主客が完全に入れ替わってしまった。ガンバのパス回しにプレスが空回りすると連動性も欠いてくる。この6月、不敗だった自信を背景に機能していた横浜は、追いかける立場になってチームの機能性を失った。坂田を投入してもスピードを生かせず、キム、長谷川を入れてもパワープレーに持ち込めず、チームとして何がしたいのかよくわからない状態となってしまった。

 いっぽうガンバはACLの敗戦を教訓に西野監督が手を打つ。二川を早々に下げて山崎投入前線での運動料を確保し、最後は佐々木を入れて横浜のDFにプレッシャーを掛ける。選手交代が監督の意図通りに機能してクローズ。1ー2でガンバの勝利となった。

 横浜は前半と後半とでは対極的な出来映えだった。前半は自信に満ちたプレーでゲームをコントロールしていた。攻守がきれいに連動するシステムは美しささえ覚えたが、後半、逆転されて自分たちのサッカーが嵌らなくなってからは急速に噛み合わなくなり、ガンバのパス回しに翻弄されてそのまま修正できなかった。しかし前半の最初と同様、粘り強く守り、いったんゲームを落ち着かせてから改めて型どおりにやれば、もっと違った結果になったかもしれない。

 横浜とは逆にガンバには揺ぎない自信がある。少々状況が悪くても自分たちのサッカーをすれば勝てる自信があるから失点しても慌てない。そしてその慌てなさが時間の浪費に繋がりもする。見ていて感じるのは、ガンバが自慢のパスワークを披露できるのはリードしてからで、それまでの時間帯はほとんど無理筋の細い細い攻めを個人能力に頼ってモノにしようとする傾向がある。つまり、自信に見合っただけの余裕あるプレーをできているわけではない。そういったあたりから、ちょっと余裕を持ちすぎじゃないかなという気もする。ガンバの場合はもう少し強く緊張感を持てば落とすゲームが少なくなると思う。

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新生と老練と

 2009年のJ1、序盤戦に大きな驚きを与えたのは浦和レッズだった。昨年までの個のサッカーからパスワークと運動量のポゼッションサッカーへとリニューアル。ただ、それだけなら昨シーズンに大宮やFC東京が志向したものと変わらない。しかし、レッズの場合はそれを高い技術を持つ選手と的確に指導する監督によって、より高いレベルで実現してみせている。それを牽引するのが山田直樹と原口元気。高円宮杯決勝で9得点の実績を引っさげた新人2人が発信源となって鮮烈なインパクトをJリーグに与え続けている。

 いっぽうのガンバ大阪は8年目の西野政権。時間をかけて熟成してきたポゼッションサッカーはもはや熟練の域に達している。右と思えば左、急とみせて緩。虚々実々のパスワークで相手を奔走させ、わずかにできた隙を撃ち、くたくたに疲れ果てたところで牙を剥く。何年も貫き通したスタイルは既に研究され尽くしているが、それでも老練な駆け引きでJにアジアに強さを示し続けている。

 その両チームが埼玉スタジアムでぶつかった。

 試合は序盤からレッズが食いついてくる展開。エジミウソン、山田直樹、原口、エスクデロがガンバ守備陣に襲い掛かり、その若さに乗じて鈴木、阿部、山田暢久といった中堅からベテランどころがせりあがってくる。ファーストシュートでエジミウソンはサイドネット。山田直樹のセカンドシュートは枠内と立て続けにチャンスを作られる。

 レッズの良さは若いアタッカーたちの怖いもの知らずのおもいきりと、フィンケ監督の授けた戦術で、中盤から前の局面で数的優位を作るのが異様に上手い。追い越し追い越しの連続でパス先のゾーンに数的優位を作り、その数的優位ゾーンをゴールへ向かって次々に動かしていくことで敵の陣を攻略してしまう。ただ、それだけの運動量をいつまでも続けられるわけでもなく、また攻撃のスピード自体は速いが単調なので、電池切れまで我慢できれば流れを変えられる。

 ガンバの場合は大体15分くらいでスピードに慣れ、そして20分くらいにレアンドロがカウンターからシュートまでもっていくと潮目が変わった。レッズの追い越し追い越しは前線で攻めきれる自信があるか、もしくは2、3枚での守備に絶対の自信があってこそ機能するシステムなのでレアンドロのようなスピードを持つアタッカーにディフェンスラインの裏を突かれると、腰が引けて守備の枚数を増やし、守備の枚数を増やすと攻撃の枚数が減って攻撃に支障をきたしてしまう。

 ガンバのラインが徐々に上がって老練なパスワークを開始する。レッズの守備陣は運動量こそ落ちているものの、まだまだ元気なので無理には攻めず右へ左へ、前へ後ろへ繋げながら相手を走らせ、隙あらば一撃見舞う意図だ。また一撃を見舞えなくてもこの調子でプレッシャーを与え続けて失点をしなければ、後半の中頃から主導権を完全に握れると踏んでいるのだろう。ところが、そのガンバの意図に綻びが生じる。40分のレアンドロ負傷退場だ。これが後半大きく響くことになる。

 スコアレスのまま前半を終え、後半。レアンドロ不在の影響がさっそく出る。レアンドロの交代によってカウンターでの抜け出しに気を遣わなくてもよくなったレッズは試合開始時と同じようにラインを高く保ち、攻撃に十分な人数を掛けてくる。こうなるとガンバは苦しい。またしても運動量豊富な攻撃に晒され、相手を走らせたいガンバが却って走らされる。打開策はといっても播戸や山崎では相手へのプレッシャーにならない。チョ・ジェジンへのボールも拾われて二次攻撃、三次攻撃と継続される。ただ前半のうちに慣れた所為もあってか決定機は思ったよりも少なく抑えられている。

 ようやくレッズに疲れが見え始めたのが15分を過ぎたあたりで、ここからガンバは巻き返しを図るべく安田を投入する。が、走らされたガンバは攻めに掛かるだけの体力が残されておらず、パスワークもままならず、中盤で泥仕合のような停滞を招いてしまう。すると今度はフィンケ監督がエスクデロに代えて高原。原口に代えて高橋を投入するが、これはこれで単発で頑張るも後ろが連動できない。ガンバはレアンドロに代わって入っていた播戸を山崎に代えてなおも頑張る姿勢をみせるが、両チームとも攻めきるだけの力は残されておらずそのままスコアレスドローのゲームとなった。

 レッズにはポンテがおらず、ガンバは加地、二川を欠いたこのゲーム。終始優勢だったのはレッズだった。ガンバとしてはレアンドロの負傷退場が痛すぎた。これが後半のゲームプランを一気に崩壊させてしまったといってもいい。レアンドロの代わりに槍となれる選手はいないものか。また、守備の面では加地がいればなあと思わざるを得ない。加地がいればサイドで簡単にやられることもないだろうし、橋本を守備的MFで使えるからもっと効果的に守れたんじゃないかと思う。ないものねだりである。ないものねだりついでといっちゃなんだが、レッズの山田直樹や原口のような選手はガンバにいないものだろうか。いや、いないものだろうかではなく、彼らの活躍を受けて奮起してほしい。特に寺田。失敗が許される年齢のうちに小間使いのように走り回り、思いきりのいいプレーをしてほしい。そうすることで見えてくるものがきっとある。

 レッズはいいサッカーをしていると思う。いっぽうで一巡りした後が勝負になるとも思う。ポジションが流動的ではあるものの、アタッキングサードに入るまでのパスワークはオートマチックっぽいところがあるため分析されて対応されたあとの引き出しが重要になるのではないかな、と。また運動量を使うサッカーなので疲労が溜まる夏場以降にどうなるか。志向しているサッカーは魅力的なものだから、大宮やFC東京のようにひよったりせず貫徹してほしい。

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ガンバの東征 第二次関東征伐

七月の第一次東征では霞ヶ丘の地にてFC東京を相手に一歩も引かず、続く蘇我での千葉戦では苦しみながらもこれを撃破。そのままの勢いで関東を席巻するかに見えたガンバであったが、関東勢の離間の計にはまったバレーが造反。ひとたび帰阪して体勢を立て直し、改めて関東征伐と相成った。

八月の第二次関東征伐の緒戦は横浜が相手である。横浜といえば小机大要塞を拠点とする古豪であるが、今シーズンに限ってはまったく振るわない。とはいえ西野監督が示すように「ちょっとした掛け違い」で不遇をかこっているに過ぎず、底力のあるチームである。そこでガンバはまず小机大要塞の支城、三ツ沢を攻略し、そこを足がかりに小机大要塞を攻め落とす算段を立てた。

●三ツ沢攻防戦
三ツ沢ではナ杯準々決勝のセカンドレグが行われた。ファーストレグでは金沢に侵攻してきた横浜勢に押しまくられるものの平井の一撃にてこれを撃退。わずかながらガンバが有利な状況である。ところが「近を以って遠を待ち、佚を以って労を待ち、飽を以って飢を待つ」の諺どおり、三ツ沢に展開した遠征のガンバは動き鈍く、そのうえ守備の要である明神の負傷離脱によって病み上がりの寺田の起用など思い通りにならない。とうとう小宮山に一撃を加えられて先制を許してしまう。ところが苦しい戦いが続くかと思ったその矢先、二川の右脚一閃。スコア上では同点もレギュレーション上での大打撃を与えガンバが俄然有利になる。しかして横浜も決死の反撃に出て勢いすさまじく、防戦一方のガンバはロペスのロングシュートに打撃を与えられ、一点を巡る攻防になる。いよいよ勢いづく横浜に対しガンバは粘りの守備を発揮し、ぎろぎりのところで踏みとどまる。横浜もこれ以上三ツ沢で戦っても利あらじと城を棄てて小机に拠る。試合には負けたものの目標を達成したガンバも、この機会を失ってはならないと休息もそこそこに横浜を追撃し小机大要塞での決戦となる。

●小机夜戦
最大で七万人が篭城できる小机城は本邦一の大要塞である。夜半ともなればそこだけがまるで昼のように明るく、闇に浮いている不夜城の如き佇まいをみせる。ガンバはこの小机大要塞を攻め落とさんと夜陰に乗じて攻撃を掛けるも小机要塞はびくともせず、却って横浜勢の攻勢を呼び込んでしまう。横浜の攻撃陣は高さの大島、スピードの坂田、パスの兵藤。この三者が三位一体、あたかもひとつの武器のごとく連動して攻撃を仕掛けると、ガンバ守備陣めまぐるしく変わるポジションの入れ替えに右往左往。バイタルエリアに起点を作られると、今度はそこを足掛かりにボランチの山瀬、右のハユマ、左の小宮山の攻め上がってくる。横浜は右に出るとみせて左から仕掛け、左から仕掛けるとみせて右から攻める。ピッチを広く使いながらガンバ守備陣を半包囲の元に置き、寄せては返す連続攻撃。あたふたとその場凌ぎのガンバ守備陣をあざ笑うかのごとく右に左にボールを動かし、とうとう大島のヘッドで先制する。

●クーデター
前半のガンバの体たらくに憤怒を隠さなかったのが、自主解散したはずのガンバのサポグループBBの面々。BBは過日、スタジアム内で暴動の引き金を引いた罪で解散に追い込まれ、現在は一般サポーターの身分で観戦に来ていたが、後半の応援が始まって程なくガンビーノの応援を掻き消す格好でBBの応援を始めてそのままの勢いで応援の主導権を掌握し督戦する。するとガンバは後半から投入された山崎の働きもあって勢いづき、ただちに同点ゴールを決めてしまう。ガンバのゴール裏はいよいよ盛り上がり、ここ数年来見られなかった烈火のごとき応援を繰り広げるが、しかし激しい炎ほど早く燃え尽きるもの。前掛りになった裏を突かれてスピードスター坂田にゴールを決められると、その後のペース続かず、突発的なチャンスは作れるものの最後の最後で小机要塞の牙城を崩せないままタイムアップ。横浜二連敗となり、今回の遠征で横浜を圧倒させることができないまま、大宮への転戦となった。

●天地人
ガンバはBBのクーデターを鎮圧することかなわず、そのまま大宮の地にてアルディージャ戦を迎える。大宮といえば圧倒的な攻撃力で以ってガンバが優勝した2005シーズンですら敗退を余儀なくされた鬼門とも言える堅城であるが、この堅城、二年を費やして大改修を行い更に堅牢さを増した。地の利はなく、人の和もないガンバは降り掛かる豪雨の間隙を縫って大宮に攻めかからんとしたが、ちょうど攻め掛かろうとしたその矢先に晴れ上がり、天の時までも奪われる。そのうえ先のクーデターによる内部不和の影響は大きく、今回もBB督戦隊がコールの中心となるものの、彼らに否定的なサポーターたちによって明に暗にボイコットがなされる。またそれに呼応するかのようにガンバの調子も上がらない。中澤がラフリッチを放し、山口がレアンドロに競り負けて前半で二失点。主導権を握っても中澤、山口では後方からの組み立てが出来ず、下平は遠藤の意図を汲めず、佐々木は判断が遅く、山崎はただ走っているだけ。チームは組織として機能せず、危険なプレーもないままズルズルと時を重ねる。

後半に入って西野監督、矢継ぎ早に手を打ち、攻撃の支配権は常に手中に収めるものの、堅城という地の利を得、レアンドロを中心とする人の和を得、雨後の涼しさという天の時を得たアルディージャの前にガンバはチャンスを作れないまま虚しく時だけが過ぎ、とうとう何も得るところなくタイムアップ。惨敗を喫して引き上げるもその引き上げる段になって再び雷雨が降り掛かるものだから、これはもはや天がガンバを見放したに相違ないとて早々に帰阪する。


ガンバの第二次関東征伐は三連敗と惨憺たる結果に終わり、得たものはといえばナ杯の準決勝出場権のみ。首位との差は遠く残留争いを近くして、BBのクーデターによりサポの結束は失われた。事ここに至りてフロントもようやく腰を上げてBBのクーデター鎮圧に向かうが事態の末は見えぬ。チームも一時は最悪期を脱したかに見えたが、控えメンバーが第一線で戦うことの難しさを露呈した。今後しばらくは万博を中心にした戦いの中で態勢を立て直し、反撃の機を窺うより他になし。ガンバの戦いはまだまだ続く。

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イルカとシャチのどつき合い

川崎フロンターレは言わずと知れた攻撃力のチームで、ジュニーニョ、チョン・テセに加えて我那覇の復活、そして前節新加入のヴィトールを加えて破壊力にますます磨きがかかる。ただし五輪代表に選出された谷口が不在。いっぽうの名古屋グランパスはストイコビッチ監督の手による組織的な攻撃、組織的な守備で華々しい活躍を続けている。その両チームとも前節は埼玉のチームに快勝して意気揚々、川崎は首位との勝ち点差5、名古屋は勝ち点差2の位置につけ、虎視眈々と上位を窺い、この一戦に臨む。

●先手
試合開始と同時に攻め込んだのは川崎で、猛然と名古屋陣へと攻撃を仕掛け、ジュニーニョのシュートはあわやゴールを捕らえたかに見えたが、そこは名古屋のクロス婆さん、これを弾き返して一息入れる。それでも勢い落とさぬ川崎は名古屋を激しく攻め立てて、あと少し、もう少しでゴールかと思うたその矢先、名古屋の右サイドバック竹内、矢の如きフィードを対角へ放ち、これを受けたマギヌンがドリブルにて無人の野を駆け抜けると、とうとう川崎ゴールを陥れてしまう。

●川崎の反撃
さて、出鼻を挫かれた川崎ではあるが、自慢の攻撃陣が黙っているはずも無く、いよいよもって攻勢を掛ける。注目は前節から出場のヴィトール・ジュニオール。ヴィトール・ジュニオールとはブラジルはリオグランデ・ド・スル州の人で、クルゼイロ、ディナモ・ザグレブ、サントス等を経て川崎に加入した助っ人である。J初出場の浦和戦で1ゴール1アシストを決めてその名を全国に轟かせ、そしてこのゲームでもトップに近い位置でプレーする。このヴィトール、非常にボールの収まりがよく、そしてキープ力も半端ないため、名古屋はバイタルエリアに橋頭堡を作られてしまう。さらにサイドチェンジを織り交ぜて右から村上、左から山岸、後方からは中村憲剛と並居る猛者が押し寄せて、名古屋のゴール前に寄せては返し、返しては寄せる波状攻撃を仕掛けるが、しかし名古屋の守備陣もよく凌ぎ、凌いだ合間に鋭利なカウンターを入れるものだから、猛攻を続けているとは言えども川崎は隙を作れない。攻守の切り替え速い前半は、瞬く間に過ぎ去って名古屋のリードで折り返すこととなった。

●西城秀樹
フロンターレが毎試合しているのかどうか知らないけれど、このハーフタイムに姿を現したのは川崎市民、西城秀樹。「ローラ!」を歌い上げた後にフロンターレサポ集うバックスタンドはGゾーンの前でレプユニ姿を晒してヤングマンを熱唱。さんざんサポを煽りながらゴール裏へと移動し、姿を消すと後半開始。こういうところ川崎って地元の財産を生かした、本当に地元密着の市民クラブの道を歩んでいるのだなあと思った。それにハーフタイムの手持ち無沙汰感がなかったことを考えると、興行としてのJリーグとして見ても客を飽きさせないプログラムになっているんじゃないかと思う。

●同点、アクシデント
ヒデキの熱さに乗せられたか、フロンターレは後半立ち上がりも攻撃の手を緩めない。ヴィトールのシュートはポスト婆さんに弾かれ、チョン・テセのシュートは楢崎に阻まれるも、こぼれ球をヴィトールが押し込んでついに同点。ところがここで思いがけないアクシデント。何があったか主審が交代。副審の人が主審を務めることになった。

●白熱の攻防
さて、追いつかれた名古屋で激怒したのはストイコビッチ監督。しかし川崎、余勢を駆って猛攻を続ける。これを見たストイコビッチ監督、中盤の底での抑えが効いていないと見定めて吉村に替えて米山を投入。対する川崎、高畠監督は攻撃の継続手としてチョン・テセに替えて我那覇を入れる。さらにストイコビッチ監督、玉田に替えてスピードスター杉本恵太を入れてカウンターを狙わせる。交代策は名古屋に軍配が上がったか、名古屋の攻撃に火が点る。サイドから崩してヨンセン狙いのクロスに、中央を割って入る杉本のドリブルとワイドな攻撃で川崎ゴールを脅かす。いっぽうの川崎も負けず劣らず、ボール奪取からジュニーニョの快速を生かしてカウンターを炸裂させる。攻守の切り替えが早くめまぐるしく、一瞬たりとも気を抜けないゲームとなって両チームが死力を尽くして攻めあう。終盤に至ってなおゴールは決まらず、しかしながら見ごたえのある攻防で気がつくとロスタイムながら、あと15分は見ていたいと思わせる好ゲーム。結局のところ両チームとも決定的なチャンスがありながら、好守に阻まれ追加点を奪えず引き分けとなった。

●スカパー
ところでこのゲーム、おさらいのため翌日にスカパーで見たのだが、全然ダメ。現場で見ているときのスピード感、切り替えの早さがまるで映されておらず、ややもするとゆったりプレーしているかのようにさえ見えてしまった。原因は明らかで、ボールホルダー以外のところのフリーランなどが相当激しく行われていたのにスカパーの映像はボールホルダーとその周辺ばかり映していたためピッチの白熱が伝わらないのだ。NHK-BSなどはプレミアを放映している所為かそのあたり非常に上手くて、テレビの画面縦幅にだいたい両サイドのタッチラインが入るように映している。これだと両チームのDFラインからDFラインまでが収まりやすくなるし、片方が収まらない場合でも攻撃の全容は掴める画面構成になる。アップはFKの際などに適度に入れて選手の顔も分かるようにしているから、かなり見やすい。スカパーもそのあたりを見習って欲しいと思う。

●付け足し
このゲームは互いに攻め合いでとても面白いゲームだったのだけど、じゃあなぜ両チーム共に攻め合えたかといえば、決して守備が緩いとかそんなんじゃなく、どちらもボールの動かし方、起点の作り方がしっかりしていたからだ。

川崎は左右、真ん中のどこからでも攻められる数少ないチームのひとつだ。中盤がどんなに絞っても逆サイドは必ずスペースで張っていて、いつでもサイド攻撃を仕掛けられるようにしている。そして片方のサイドが詰まると、ピッチを横断するサイドチェンジで逆サイドへ振る。また、真ん中にはキープ力のあるヴィトール・ジュニオールやジュニーニョ、高さと強さのあるチョン・テセや我那覇などを揃えて、クサビのパスを受けてから後方の押し上げがあるまでの時間を稼げるようにしている。そのクサビのパスや左右への配球を行うのが中村憲剛で、この選手の高い技術力が川崎の攻撃を支えている。

いっぽうの名古屋はサイドの高い位置に起点を作る。マギヌン、玉田、ヨンセン、小川といったキープ力に優れる選手達が、ちょうど川崎の両サイドと同じくサイドの高い位置に張っていて、逆サイドのDFから対角線上にロングフィードされる。フィードを受けた選手はチャンスがあればそのまま速攻に移るが、なければサイドバックの上がってくる時間を稼ぐ。また、遅攻の場合でもサイドの高い位置に起点を作るため、サイド突破に攻撃的MFとサイドバック、場合によっては守備的MFまでも絡んで数的優位を作り出し、フリーランニングに合わせて縦のスペースへパスを出す。またサイドに起点ができると、守備的MFも上がってきて、全体を見ながらの配球は精度の高いパスを操る中村直志が担当する。

いずれにしても高い位置でパスを受けて後方からの押し上げが来るまでの時間を稼げるプレイヤーと、精度の高いパスを配球できるボランチの存在が攻撃を支えている。ちょうどガンバが強かった年も同じで、配球役には遠藤がいて、ポイントにはフェルナンジーニョやマグノ・アウベスといった選手がいた。またレッズの場合も配球役に長谷部とポンテがいて、ポイントにはポンテとワシントンがいた。鹿島にはサイドバックもいれば配給役に小笠原もいて、ポイントには本山やマルキーニョスがいる。昨シーズン、小笠原が復帰してから快進撃が始まったのは決して偶然ではない。要するに、配球役とポイント、押し上げは攻撃のセオリーのひとつで、これを上手くやれればそれだけシュートチャンスを作り出せるということだ。今シーズン、ガンバやレッズが思うように勝てないのは要するにここに問題があるし、名古屋が躍進できているのはこれを上手く解決できているためだ。

そんなこんなを考えながら熱中していたイルカとシャチのどつきあいだった。

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夏の関東征伐 第一次東征2

負けが込んでいるチームほど怖いものはない。いくらなんでもそろそろ勝つだろうという気はするし、相手だって我武者羅にくるだろうし、そもそもガンバには仙台の19試合連続勝ち星なし記録を止めた実績もある。おまけに当のガンバはチームの調子がよくない。相手が最下位の千葉とはいえ、いや、だからこそ余計に気の抜けないゲームである。

●サイドの決闘
先手を取るのはやはりガンバ。立ち上がりに初撃を加えるもののJEFゴールを陥れられず。その後もガンバの攻勢が続くが、この流れをただひとりJEFの谷澤によってひっくり返される。

安田の目の前でボールを持つ谷澤。小さくフェイントを入れながら揺さぶるところへ安田、敢然と突進しボールを奪取しようとする。しかしそれは谷澤の罠だった。足裏ですっとボールを引き戻し、チョンと斜め前へ出して、身体を入れかえて安田をかわす。突進をかわされた安田も反転、懸命に追いすがり、谷澤に手を掛けてしまう。ホイッスルが鳴ってFK。そして安田に突きつけられるイエローカード。

このプレーの後は谷澤の独壇場。迂闊に飛び込めない安田が躊躇いがちなポジショニングで谷澤にドリブル、パス、シュートとあらゆる選択肢を許してしまうと、谷澤の後方から坂本も加わってガンバの左サイドを突き崩す。とはいえ、JEFには前回のFC東京ほどの連動性、機能性があるわけではなく、所詮は谷澤頼みの単独突破。中央の山口、中澤、加地がJEFのチャンスを潰してシュートを打たせない。

いっぽうガンバはといえば上手くいっているのかそうではないのか、FC東京戦よりはボールを運べているしキープもできているが、JEFが守りを固めている中央を強引にこじ開けようとして悉く弾き返されている感じだ。

●ボスナー攻略作戦
シーズン開幕ゲームのJEF戦、圧倒的に攻め込むガンバの前に聳え立ったのがエディ・ボスナー。ボスナーがいる限りクロスは届かず、パスは通らない。とうとうJEFのゴールを割ることあたわず、スコアレスドローの憂き目にあったのだった。

そのボスナーがこのゲームでも立ちはだかる。ボスナーがいる限りクロスは届かず、パスは通らない。にもかかわらずボスナー支える堅陣に向かってガンバ攻撃陣、中央からの攻めを繰り返しては虚しく弾き返されるのみ。業を煮やしたのが西野監督。攻撃に変化をつけるため陣形を変えて手持ちの佐々木を投入すると、この小柄な16番は期待に違わぬ働き振りで敵陣左サイドを蹂躙する。右の勢い増せば、左もまた盛り上がる。右が出れば左が引き、左を突けば右が備える。右から左から休むことなく攻撃すれば、JEF守備陣もたまらず引きずり出される。左右に人を裂けば今度は真ん中開くのが道理。西野監督、中央の空隙を見計らうに及んで後半40分、山崎雅人を投入する。すると運動量豊富なこのFW、疲弊しているJEF守備陣を翻弄し、いよいよJEFゴール前を混乱に陥れる。そうして後半ロスタイム、最後の力を振り絞った橋本、ルーカス、そしてこの山崎のパス交換でJEFの堅陣を切り裂きとうとうゴールを陥れた。

●用兵の妙
この勝利は西野監督に負うところが大きい。敵が真ん中を固めれば外から攻め、散じれば中を掻き回す。交代の策がいちいち嵌まり、それが決勝点の1点につながった。対するJEFのミラー監督の交代策もそれほど悪い手ではなかったように思う。しかしながらセカンドボールを支配できなかったJEFはその交代策を生かせなかった。

●バレーの離脱
う~む。これを書ききる前にバレー退団の一報。このゲームでもあまり良くなかったし、そもそもここのところ得点の匂いがしなかったから、今回の平井とのスイッチは西野監督の英断とさえ思っていたのだが、退団となるとそれはそれで困る。居るだけで脅威、シュート一本見せるだけでハッタリになる選手だったからな。

とはいえ、バレーも商売だし自分に価値があるうちに稼いだほうがいいに決まっている。クラブ側としてもこういった事態を想定して複数年契約を結んでいたのだから、売り時を失うわけにはいかない。そのあたりはこちらも理解できるから、互いに納得のできる線なら円満に送り出したい。

マグノと違っていきなり向こうの新聞に載ったわけでもなし、水本と違って我儘で出て行くわけでもなし、随分前からいろいろなオファーがあったみたいだし、昨シーズンはナ杯獲得に活躍したし、パンパシでは楽しませてくれた。お楽しみはこれからもあったと思うけど、それでもじゅうぶんガンバの為に戦ってくれたと思う。まだ退団は本決まりではないけれど、向こうへ行ったら行ったで活躍して「ガンバ経由の選手は質がいい」と思わせて欲しい。それで来年にでもACLで再開できれば。

まあ、弱小リーグの強豪チームならではかな。それもまたサッカーと思って受け容れるさ。

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夏の関東征伐 第一次征伐1

今シーズンのガンバは夏にやたら関東各地でのゲームが組まれている。先日の柏を皮切りに、今回がFC東京。日曜に千葉。翌週はホームで大分迎撃だが、8月頭からナ杯の横浜、リーグの横浜、そして大宮と関東遠征目白押しである。さしずめ夏の関東征伐キャンペーンである。そのひとつめの連戦、第一次征伐のFC東京戦である。

●要害味スタ
前回も書いたと思うが、ガンバはFC東京のホームで勝てない。万博でこてんぱんにやっても味スタでは勝てない。しかしこの度はFC東京が要害味スタを出て国立に拠るという。これは勝ちのチャンスがめぐってきたかもしれないとゲンも担いで国立へ乗り込む。

●虚を以って実と為し、実を以って虚を撃つ
先手を取ったのはガンバだった。安田のクロスからルーカスが決める。しかし、その後ゲームを支配したのはFC東京。敵ながら見惚れる時間があったほど綺麗な攻撃をしていた。まず、両サイドに数的優位を作って突破。サイドからガンバ陣深く攻め込むとガンバDF陣にクロス、パス、ドリブルの三択を突きつけ、後手を踏んだガンバDFを嘲笑うかのようにシュートチャンスを量産する。ガンバがセカンドボールを拾っても即座にボールを狩って攻撃続行。サイドに気を取られると真ん中を割り、真ん中を固めるとミドルを放つ。虚を以って実と為し、実を以って虚を撃つとはまさにこのこと。

草を刈り取るかの如き容易さで同点ゴールを得た後も、FC東京はガンバを翻弄し続け、前線から中盤が崩壊したガンバには戦術も何もなく、山口、中澤、藤ヶ谷、ただゴール前でひたすら身体を張って跳ね返すのみ。それでもFC東京、あまた放つシュートの唯の一つもゴールを捉えること能わず、遮二無二守るガンバは遂にハーフタイムへと逃げ込む。

●佐々木
山崎は動きは悪くないけどそれほど上手くはない選手で、ガンバがポゼッションできているときなら動きと繋ぎに力を発揮するけど、こういうカウンター狙いのゲームになると個人での打開能力が問われるためダメ。そんなわけで後半頭から山崎に代わって佐々木が登場。佐々木はスピードで右サイドをぶっちぎって、高速クロスを上げられる実にカウンター向きの選手である。その佐々木、期待に違わぬ働きぶりで好クロスを連発するものの、こんどはバレーがまるでダメ。動き出しの遅さが諦めを生むのか飛び込む素振りさえ見せずボールを見送る。クロスがもったいない。

●ガンバの反攻
FC東京の追撃を振り切ったガンバ、ハーフタイムに体勢を立て直して反撃に出る。嚆矢は佐々木。右サイドからゴールへ向かうクロスの数々は、FC東京の心胆寒からしめ、勢い落ちたるところを見計らってガンバ盛り返す。かてて加えてFC東京、前半の猛撃が仇となり疲労に困憊を重ねて動きは重く、いよいよガンバのパス回る。ところがこちらも鋭さなく、FC東京DF前に右往左往、あげくは立ち往生するのみ。終盤にいたり、FC東京ますますへこたれるに及んで漸くガンバの猛攻始まるけれど、時既に遅く今度は我武者羅に守ったFC東京が試合終了へと逃げ込む。かくして両チーム痛み分けにてゲームが終わり、互いに得るものは勝ち点1。双方が不満と安堵を抱えながら霞ヶ丘の地を後にした。

●欠けているピース
前半はFC東京がよかったから置くとしても、後半、ポゼッションを高めて反攻に出た時のガンバの状態は思った以上に悪く、得点の匂いがまるでしないポゼッションを延々繰り返すだけだった。何がどうかと言うと、ボールの動かし方が悪い。ガンバにせよ、この日のFC東京にせよ、ポゼッションベースで敵陣を攻略できる時のボールはM字やW字のような動きが入る。要はジグザグと動かすことでDFのマークをずらしていき、マークがずれたところでスルーパス一発、敵陣を崩壊に追い込むのだけど、このゲームでのガンバはそれができなかった。ではなぜそれができなかったのかといえば、前線がクサビを捌けなかったからだ。要はバレーの状態が悪く、シュートはおろかクサビさえまともに処理できなかった。ガンバが強いときは、このあたりで確実に時間を稼げるプレーヤーがいて、それはマグノだったりフェルだったりしたわけだが、このピースが欠けてしまった今シーズンはここ数シーズンほど得点を稼げていない。このあたりは戦い方を模索しなければならないところなのだろうって、既にシーズンも折り返し地点なのだが。

●FC東京
攻撃が素晴らしくよかったのは前述の通りだが、陰働きの浅利がまたよかった。カウンターに備えるポジショニング、ガンバボールになった瞬間のプレッシングなど前半は縦横無尽の働きでFC東京の攻撃を支え続けた。後半に入ってもこの浅利を無力化しなければ得点に繋がらないと分かる存在感だった。柏の山根といい、ベテランながら運動量を要するポジションで地味に陰働きをするプレーヤーがチームの重心となっている。Jのみどころのひとつだ。

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こんなゲームもある

日立台での柏レイソル対ガンバを見に行った。結果は0-1の敗戦。だけど悲観するような内容ではなかったし、少なくともナビスコ杯マリノス戦よりはよかった。

◆得点力不足
最終的にシュートを20本も打ちながら1点が入らなかった。もっとも20本とは言っても内容はさまざまだし、ゴール裏のこちらからはよく分からなかったシュートもあるけれど、それでも決定機を5回は作れていた。当然ながら、柏GKの菅野がよかったという面はある。いっぽうでシュートが枠に飛ばないというのもある。で、やっぱりバレーなんだけど、枠には飛ばして欲しい。西野監督もバレーが動けていないと思うのなら先発にしなくてもいいんじゃないか。

◆フランサ
得点シーン。杉山の上がりを見ながら「魔術師は忘れたころに出てくるぞ。ちゃんと捕まえてろよ」と思った直後にフランサがボールを受けて、李へのプレゼントパス。その前の時間帯でフランサが消えていたから、それなりに守備は機能しているかと思ったのだけど、途中出場の杉山によって補給ルートが生まれた感じになった。

◆橋本と明神
前半などそうだったのだけど、フランサのような強力な個がいると明神、橋本の二人ともが守備に引っ張られてなかなか攻撃に絡めない。前半の中ごろまで攻撃が上手くいかなかったのは、実にその所為だった。いっぽう後半に入るとこの二人が柏の守備的MFと対峙する格好からルーカスなどとのパスワークで前線へボールを前へ運べていた。どちらか1枚は攻撃に絡まないとなかなか形を作れないが、そうなるとフランサの如き個をある程度放さざるを得ない。難しいところだ。

◆交代選手たち
離脱者が多く、駒不足が深刻な所為もあって交代選手はフレッシュな面々。ナビスコ杯マリノス戦のヒーロー、平井はスケールの大きさを感じさせるプレーこそあったものの、全体としてはパッとせず。バレーとではなく、ルーカス、平井の2トップを見てみたいと思ったりもする。倉田はぼやけていた。キック精度も悪く、それが佐々木投入に繋がったのだと思う。その佐々木はキック精度こそよかったが時間帯のこともあって、右サイドを切れ込んでのクロスが見られなかったのは残念。ところで佐々木は安田と交代だったが、これは要するに加地のサイド突破、クロスがあまりに少なかったための措置だろう。守備を考えると加地は外せないが、如何せん攻撃となると…。これも西野監督の悩みどころだろう。

◆ガンバ
悪い状態ではなかった。むしろ遠藤がいなくても、ここまでやれることを示したと思う。あとは決定力。そんなに悠長には構えてられないけれど、目を釣り上げることもないかな、と。

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これぞレッズ

浦和レッズ対FC東京を見に行った。
早い時間帯にレッズが先制し、その後、試合全般を通じてFC東京が攻めるもののゴールが遠く、却って終了間際に永井が追加点を決めるという「レッズの嵌め型」だったが、内容そのものは白熱し、見所も多く厭きないゲームだった。

◆田中達也の復活
レッズの先制点はエジミウソンが叩き込んだものだが、その前、FC東京のディフェンスラインの裏を突いてロングボールを呼び込んだ田中達也の動き出しは素晴らしかった。田中達也はピッチの中で唯一動き出しが早く、それがゆえにボールを多く引き出せていた。エジミウソンにはこの動きはないし、途中出場の永井にもなかった。おそらく高原にも足りない部分なのだろう。だから田中達也が先発に抜擢されたのだと思う。いっぽうで長期間離脱していた影響によるスタミナ不足は顕著で、前半の途中から動けなくなって、それと共にレッズのパフォーマンスが下がっていった。とはいえ復活記念も併せて、このゲームの私的MVP。

◆FC東京の攻撃
FC東京は今年就任した城福監督によりポゼッションベースのサッカーを志向しているが、ポゼッションを意識するあまり動きの変化に乏しい感じだった。ボールを引き出す動きがないものだから、レッズの前線の3枚が動けているうちはディフェンスラインでパスを回すしかなかった。また、サイドバックはレッズのウィングバックの裏に走りこんでボールを受ければいいのに、足元でもらいたがるから攻撃に加速もつかず、前半の終わりごろまで攻撃に停滞感が漂い続けていた。それと平山。ボールコントロールなどは非常に上手い選手だと思うが、如何せん判断が遅くその技術がゴールの役に立っていない。もったいない。

◆鈴木と闘莉王
このゲームはほぼ全ての時間帯でリードしていたからかもしれないが、位置取りの低さが気になった。特に闘莉王はボランチでも守備的MFでもなく、フォアリベロのようなポジションを取ってディフェンスラインの前に張り付いているため、ディフェンスラインとトップとの距離はさほどでもないのに中盤にスペースがあって、そこを使われるとウィングバックもディフェンスラインに吸収されて更なるベタ引きのデフレスパイラルを生んでいた。

◆城福監督の選手交代
後半に入ってからのFC東京がなまじ良かっただけにどのタイミングで誰を代えるか非常に難しかったとは思うが、その遅延がゴールを奪えなかった原因のひとつだと思う。石川でも、大竹でも、ドリブルのできる選手を後半30分くらいまでに入れておけばレッズのディフェンス陣が決壊しそうだったのだが。

◆攻めも攻めたり守りも守ったり
後半30分ごろだったか非常にいいシーンがあったので書きとめておく。ちょうどFC東京が攻めていた時間帯。

(講談調に読んでください)
サイドを突破したFC東京の右クロス、いったんはレッズディフェンダーに弾かれるものの、そのこぼれ球を拾った徳永、もういちどゴール前にクロスを上げる。ゴールへ向かう絶妙クロスに川口信男、めいっぱい身体を伸ばしたジャンプにひねりを加え、ほんのわずか、すらしたボールはレッズゴール右隅へとふわり。あわや同点かと思ったその刹那、横っ飛びに伸びた都築の右手のその指の先、ピッとボールを弾いてゴールならず。美技のヘディング、渾身のセーブ。攻めも攻めたり、守りも守ったり。

◆レッズのフェルナンド・トーレスか、スペインの永井か
ユーロ2008を見ていたとき、フェルナンド・トーレスを指して「まるでレッズの永井のような選手だ」と言い合っていたのだが、まさしくそのようなゴールを決めてゲームを決定付ける。後半44分、都築のゴールキックをFC東京ディフェンダーがかぶってしまい、フリーの永井の足元に。ゴールキーパーとの1対1を確実に決めてゲーム終了。ここぞの場面で美味しいところを持って行くそのプレー振りはやはりフェルナンド・トーレスのようだった。

◆これぞレッズ
関東で生活している身の上だから周りには普通にレッズサポが居るのだが、彼らは一様に「こんな戦術のないチームじゃダメだ」と嘆く。たしかにこのゲームを見ても、攻撃は田中達也の動き出しによってのみ活性化していたし、守備は守備でチームとしてボールを奪取するやり方ではなく、ゴール前で跳ね返すやり方になっていた。そこにチーム戦術はない、と言ってよい。

でも、こちらからすると「それこそがレッズ」だと思う。レッズは得点力抜群のFWやJでも屈指の選手を獲得する事によって成長を遂げてきた。FWが奪った得点を他の優秀な選手達で守りきる試合運びによって勝利を重ねてきた。どんなに攻め込まれても最後に勝っているのはレッズ。それはレッズが範としたドイツのゲルマン魂に通じるものがあると思う。このゲームはそういった面において「これぞレッズ」の面目躍如だったと思う。

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サポの処分について

浦和戦でやらかしたサポの処分について。

実のところ今週頭までに発表されなかったから、ひどく甘い玉虫色の処分になるんじゃないかと思っていた。で、やっぱり甘い処分だった。がっかり。
どこが甘いかといえば、自主解散を許した点。そしてBBの旗や幕などを禁止しなかった点(前回の措置は正式に処分が決定するまでの暫定措置なので今回の正式処分で期限切れ)。これは要するに復活のための足掛かりを残したことになる。

自主解散というのは非常に都合のいい逃げ方で、解散の宣言さえすればグループとしての責任を問われないし、また外からは責任を取ったようにも見える。しかしメンバー同士は以前と変わらず紐帯しているうえ、個人として公式に責任を問われていないため即座に別グループを結成できる。また、グループの責任も問われていないため時宜を見計らって自主的に再結成も行える。今回の場合はBBの旗や幕、Tシャツなどを禁止しなかったから再結成後の活動は自由だ。今回の処分のミソはここで、全てがガンバとは無関係にBB主体で動けてしまう所にある。

そう考えると、今回の処分は前回BBが活動自粛した時(2001年~2002年。INBとして活動)よりも甘いといえる。前回はガンバがBBの名前から旗や幕までも禁止したことで、BBは復活の際クラブに禁止措置の解除を求めざるを得なかったし、措置の解除と引き換えにクラブはBBを登録サポーターとして一応の管理下に置けた。今回はそれらがなくなってしまったので、BBの再結成は自由であるうえ旗や幕の掲示も思うまま。おまけに登録サポからも外れたので、彼らとしては誰からの掣肘も受けずにゴール裏を闊歩できるわけだ。

そんなわけでずいぶん甘い、というより一定期間雌伏すればBBの思うままの処分となった感がある。
まあ素直に見れば責任を担って自主解散、で終わりなんだろうけど前回の復活を知ってるからね。

以下、ガンバ大阪ホームページより。

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5/17浦和戦 サポーターグループ処分について そして「安全で快適なスタジアム」づくりを目指して
2008/06/21(土)

5/17浦和戦にてスタジアムに試合を観戦に訪れたファンの皆様に対して、また直接被害に遭われたファンの方へ、今回の不祥事を改めて心よりお詫び申し上げます。

Jリーグが掲げる「安全で快適なスタジアム」づくりにおいて、今回の浦和戦での不祥事は起こしてはならない事件であり、一般ファンの方が、サポーター同士の争いに巻き込まれ、被害を受けるということは言語道断、決してあってはならないことです。
試合を楽しみに観戦に訪れたファンの方、そして社会全体に、Jリーグ観戦を「不安」と感じさせてしまったことについて、ガンバ大阪は全力で信頼回復に努めていきたいと思っております。
今回Jリーグからの制裁については浦和レッズ、ガンバ大阪の当該チームだけではなく、Jリーグ各チームに対しての警鐘であり、今後絶対にこのようなことがあってはならないという意味から今回の制裁を真摯に受け止めております。

ガンバ大阪として事件後より不祥事を起こしたサポーターグループと話し合いの場を持ち続け、水風船を相手チームサポーター席へ投げ込んだ実行者は、「BB sez TOKYO」というグループ名で活動を行っているガンバ大阪サポーターグループであり、グループに所属する実行者2名の永久入場禁止と「BB sez TOKYO」の解散に至りました。
また、「Black and Blue Squad(通称:BB)」というグループ名のガンバ大阪サポーターグループについては、今回の不祥事の責任の一端を担う形で自主的に解散するという結論に達し、ガンバ大阪はこれを承諾致しました。
クラブとして制裁金、そして該当者の永久入場禁止と該当グループの解散、登録サポーターグループの1つが自主解散という形で今回の不祥事については「けじめ」をつけさせていただきましたことを皆様にご報告させていただきます。

今後の試合運営に関しましては、ホーム側の運営に任せるだけではなく、アウェーチームも自チームサポーターに対しての警備体制を整え、ホームチーム側と連携して進める必要があると感じております。今後のガンバ大阪のホームゲームでは、自主警備強化はもちろん、警察の協力を得ながらの試合運営を行い、ガンバ大阪の「目に見える行動」にてサポーターの皆様に告知し、様々なルールを認識して頂き、ご協力をお願いしたいと思っております。
また、今後は「ガンバ大阪登録サポーター」制度を見直し、グループ全員の名簿の提出をはじめとした様々なルールを制定し、新たにスタートいたします。登録サポーターグループとのコミュニケーションを更に強化して図ることにより、彼らと一緒に、また一般ファンの皆様と共に「安全で快適なスタジアム」の実現に向けて歩んでまいりたいと思います。

6月25日からはJリーグが再開されます。「安全で快適なスタジアム」づくりは、やはり観戦に来られるサポーターの皆様のご協力なくしては得られません。ぜひ、Jリーグ及びJリーグ各チーム、そしてガンバ大阪が掲げるスタジアムルールを守って頂き、入場時のスムーズな荷物チェックなどにもご協力を賜りますようお願い致します。

「安全で快適なスタジアム」を目指して。
一度失った信頼を回復することは簡単なことではありませんが、ガンバ大阪は全力で「安全で快適なスタジアム」づくりを心がけ、『スポーツ界の常識』は『世間の非常識』と言われないよう、ホーム・アウェーでの運営体制の改善、改革を実施し、ガンバ大阪がJリーグの先頭を切って率先して取り組んでいくことをお約束致します。
皆様のご理解、ご協力を心よりお願い致します。

皆様が万博に、そして各アウェー会場に安心してご来場いただけるよう、万全の体制にて皆様のご来場をお待ちしております。

ガンバ大阪

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浦和戦後のトラブルについて

はじめに。BBの行動に何らの掣肘を加えられなかった者のひとりとして、投げ込みによる被害、危害を蒙ってしまったレッズサポに謝罪します。また聞くところによると、BBと激発したレッズサポの板挟みになりながら身体を張って混乱を阻止しようとしたレッズサポもいたそうで、そういった人たちには本当に申し訳ないことをしたし、自分がそのようにできなかったことについて恥じ入るばかり。

また、さまざまな意見が飛び交っているけれどこの騒動の発端を作ったのは公式リリース通りガンバ側に間違いない。上段にいたからゲーム開始前から投げ込みがあったのは見えていた。

今回の騒動について既に語りつくされているけれど問題を大別するとふたつ。

・ガンバサポの蛮行愚行
・主催者側の危機管理

選手間のトラブルの元となった「ワニナレナニワ」については、大分、名古屋、韓国、オーストラリア、そして埼スタ。それぞれの場所での感覚の問題。すり合わせていくしかないだろう、と思っていたらアウェーでは全面中止とか。じゃあ、もう何も言いません。

主催者側の危機管理に関してはこちらの関与できることではないのだけど、レッズサポとガンバ側との認識の違いをひとつ。レッズサポは封鎖を「ただの野次馬が大半」としているけれど、閉じ込められているこちらの感覚は全く違って「暴徒寸前の群集」だった。ゴール裏最上段から下を覗いたときには絶句し肝を冷やした。むろん示威目的とか、いつでも殴り込む意志があるのならそれは有りだろうけど、単に成り行きを見守りたいだけならレッズバーででも飲みながら待っていてほしい。もしかしたらレッズサポは気づいていないかもしれないけれど、あれだけの数はそれ自体が脅威だ。ましてや「レッズサポは怖い」イメージは根強いし、それを実証するようなメインからの投げ込みや侵入。あるいは封鎖された出入口の鉄柵に向けてバリケードを投げつける輩。こちら側としてはあの群集を単なる野次馬とは片付けられない。

サポーターの蛮行愚行についてはガンバ側に弁解の余地なく、いくつもの問題がある。

・昨年ヤマハスタジアムでの愚行にもかかわらず処分を行わなかったクラブの体質
・BBのやることに抑止力を持たない、ガンバサポーター

ひとつめはクラブの体質。今回は永久追放処分にするそうだが、今後別の団体が似たような事件を引き起こしたときに適切に対処できるか。先代社長はそれを出来なかったけれど、今回の件に関する対応の早さなどから金森社長には期待したい。

もうひとつのサポーター。実のところ、既にサポの看板を下ろしている身としてはこの問題に関して一切語る資格を持たない。それでも現場に居合わせた者として、またあの投げ込みは断じてサポートではなかったことを以って、口幅ったいながらも放言させてもらうと。BB関係の問題は昔からあった。あったが、かつてサポだった自分も含めてガンバサポの誰もが問題から目を背け続け、助長すらしてきた。それが今回の騒動に繋がっている。今回の騒動の遠因はガンバサポが作ったのだ。ガンバサポはその点を認識し、改めなければならない。でなければ第2のBBが出現した際には今回と同じことを繰り返してしまうし、グループであれ一般であれサポを名乗り自負するならそれくらい出来なければならないと思う。サポはファンとは違って特別な存在なのだ。放言おわり。

BBの蛮行が発端となったこのトラブルは隅から隅まで本当に糞だった。
今やJを代表する2チームのゲームでマスコミの注目も高く、ナショナルダービーなんて大層な銘を打たれ、NHK総合での全国放送。そんないちばん華のある舞台でガンバサポが蛮行愚行狼藉の限りを尽くし、挙句は前代未聞の大トラブル。
クラブやサポのイメージはもとよりリーグのイメージすら著しく損なうこの事件の当事者となった両クラブは、双方がリーグを代表するクラブであるからこそ厳しい制裁を受けなければならないと思う。個人的には双方のチームから勝ち点剥奪があってもいいと思う。そうなるとガンバは残留争いの中に叩き込まれるが、それでも構わない。世の中には目先の順位よりも大切なことがある。

あと。知り合いのレッズサポは「ガンバの対応が手ぬるかったり、レッズの方に重い制裁が下されたりしたら11月に万博を滅茶苦茶にしてやる」と息巻いている。「チケがなくても突破すればいい」「メインに陣取ってガンバ側の一般ファンに水風船を投げてやる」「レッズサポが押し掛けて囲みをする」「ガンバは一般客が減って困るだろうが、レッズサポが減ることはない」「それもこれもぜんぶ自業自得」などとかなり過激なのだがこれはレッズサポにとっては一般的な考えなのだろうか。だとすればガンバ側から仕掛けてしまったこととはいえ暗澹としてしまう。今回のトラブルにおけるいちばんの被害者は埼スタに来ていた一般客や一般ファンだ。そしてJリーグの裾野はその一般層に保たれている。いや、一般層が保たなくてはならない。Jリーグがコアな客層で固まりつつある現在、むしろ一般層をウェルカムにしなければならない。それはガンバもレッズもなくリーグ全体の問題で、だからこそJでいちばんのレッズサポが一般客を遠ざけるような真似だけは避けてほしいと願う。

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