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イルカとシャチのどつき合い

川崎フロンターレは言わずと知れた攻撃力のチームで、ジュニーニョ、チョン・テセに加えて我那覇の復活、そして前節新加入のヴィトールを加えて破壊力にますます磨きがかかる。ただし五輪代表に選出された谷口が不在。いっぽうの名古屋グランパスはストイコビッチ監督の手による組織的な攻撃、組織的な守備で華々しい活躍を続けている。その両チームとも前節は埼玉のチームに快勝して意気揚々、川崎は首位との勝ち点差5、名古屋は勝ち点差2の位置につけ、虎視眈々と上位を窺い、この一戦に臨む。

●先手
試合開始と同時に攻め込んだのは川崎で、猛然と名古屋陣へと攻撃を仕掛け、ジュニーニョのシュートはあわやゴールを捕らえたかに見えたが、そこは名古屋のクロス婆さん、これを弾き返して一息入れる。それでも勢い落とさぬ川崎は名古屋を激しく攻め立てて、あと少し、もう少しでゴールかと思うたその矢先、名古屋の右サイドバック竹内、矢の如きフィードを対角へ放ち、これを受けたマギヌンがドリブルにて無人の野を駆け抜けると、とうとう川崎ゴールを陥れてしまう。

●川崎の反撃
さて、出鼻を挫かれた川崎ではあるが、自慢の攻撃陣が黙っているはずも無く、いよいよもって攻勢を掛ける。注目は前節から出場のヴィトール・ジュニオール。ヴィトール・ジュニオールとはブラジルはリオグランデ・ド・スル州の人で、クルゼイロ、ディナモ・ザグレブ、サントス等を経て川崎に加入した助っ人である。J初出場の浦和戦で1ゴール1アシストを決めてその名を全国に轟かせ、そしてこのゲームでもトップに近い位置でプレーする。このヴィトール、非常にボールの収まりがよく、そしてキープ力も半端ないため、名古屋はバイタルエリアに橋頭堡を作られてしまう。さらにサイドチェンジを織り交ぜて右から村上、左から山岸、後方からは中村憲剛と並居る猛者が押し寄せて、名古屋のゴール前に寄せては返し、返しては寄せる波状攻撃を仕掛けるが、しかし名古屋の守備陣もよく凌ぎ、凌いだ合間に鋭利なカウンターを入れるものだから、猛攻を続けているとは言えども川崎は隙を作れない。攻守の切り替え速い前半は、瞬く間に過ぎ去って名古屋のリードで折り返すこととなった。

●西城秀樹
フロンターレが毎試合しているのかどうか知らないけれど、このハーフタイムに姿を現したのは川崎市民、西城秀樹。「ローラ!」を歌い上げた後にフロンターレサポ集うバックスタンドはGゾーンの前でレプユニ姿を晒してヤングマンを熱唱。さんざんサポを煽りながらゴール裏へと移動し、姿を消すと後半開始。こういうところ川崎って地元の財産を生かした、本当に地元密着の市民クラブの道を歩んでいるのだなあと思った。それにハーフタイムの手持ち無沙汰感がなかったことを考えると、興行としてのJリーグとして見ても客を飽きさせないプログラムになっているんじゃないかと思う。

●同点、アクシデント
ヒデキの熱さに乗せられたか、フロンターレは後半立ち上がりも攻撃の手を緩めない。ヴィトールのシュートはポスト婆さんに弾かれ、チョン・テセのシュートは楢崎に阻まれるも、こぼれ球をヴィトールが押し込んでついに同点。ところがここで思いがけないアクシデント。何があったか主審が交代。副審の人が主審を務めることになった。

●白熱の攻防
さて、追いつかれた名古屋で激怒したのはストイコビッチ監督。しかし川崎、余勢を駆って猛攻を続ける。これを見たストイコビッチ監督、中盤の底での抑えが効いていないと見定めて吉村に替えて米山を投入。対する川崎、高畠監督は攻撃の継続手としてチョン・テセに替えて我那覇を入れる。さらにストイコビッチ監督、玉田に替えてスピードスター杉本恵太を入れてカウンターを狙わせる。交代策は名古屋に軍配が上がったか、名古屋の攻撃に火が点る。サイドから崩してヨンセン狙いのクロスに、中央を割って入る杉本のドリブルとワイドな攻撃で川崎ゴールを脅かす。いっぽうの川崎も負けず劣らず、ボール奪取からジュニーニョの快速を生かしてカウンターを炸裂させる。攻守の切り替えが早くめまぐるしく、一瞬たりとも気を抜けないゲームとなって両チームが死力を尽くして攻めあう。終盤に至ってなおゴールは決まらず、しかしながら見ごたえのある攻防で気がつくとロスタイムながら、あと15分は見ていたいと思わせる好ゲーム。結局のところ両チームとも決定的なチャンスがありながら、好守に阻まれ追加点を奪えず引き分けとなった。

●スカパー
ところでこのゲーム、おさらいのため翌日にスカパーで見たのだが、全然ダメ。現場で見ているときのスピード感、切り替えの早さがまるで映されておらず、ややもするとゆったりプレーしているかのようにさえ見えてしまった。原因は明らかで、ボールホルダー以外のところのフリーランなどが相当激しく行われていたのにスカパーの映像はボールホルダーとその周辺ばかり映していたためピッチの白熱が伝わらないのだ。NHK-BSなどはプレミアを放映している所為かそのあたり非常に上手くて、テレビの画面縦幅にだいたい両サイドのタッチラインが入るように映している。これだと両チームのDFラインからDFラインまでが収まりやすくなるし、片方が収まらない場合でも攻撃の全容は掴める画面構成になる。アップはFKの際などに適度に入れて選手の顔も分かるようにしているから、かなり見やすい。スカパーもそのあたりを見習って欲しいと思う。

●付け足し
このゲームは互いに攻め合いでとても面白いゲームだったのだけど、じゃあなぜ両チーム共に攻め合えたかといえば、決して守備が緩いとかそんなんじゃなく、どちらもボールの動かし方、起点の作り方がしっかりしていたからだ。

川崎は左右、真ん中のどこからでも攻められる数少ないチームのひとつだ。中盤がどんなに絞っても逆サイドは必ずスペースで張っていて、いつでもサイド攻撃を仕掛けられるようにしている。そして片方のサイドが詰まると、ピッチを横断するサイドチェンジで逆サイドへ振る。また、真ん中にはキープ力のあるヴィトール・ジュニオールやジュニーニョ、高さと強さのあるチョン・テセや我那覇などを揃えて、クサビのパスを受けてから後方の押し上げがあるまでの時間を稼げるようにしている。そのクサビのパスや左右への配球を行うのが中村憲剛で、この選手の高い技術力が川崎の攻撃を支えている。

いっぽうの名古屋はサイドの高い位置に起点を作る。マギヌン、玉田、ヨンセン、小川といったキープ力に優れる選手達が、ちょうど川崎の両サイドと同じくサイドの高い位置に張っていて、逆サイドのDFから対角線上にロングフィードされる。フィードを受けた選手はチャンスがあればそのまま速攻に移るが、なければサイドバックの上がってくる時間を稼ぐ。また、遅攻の場合でもサイドの高い位置に起点を作るため、サイド突破に攻撃的MFとサイドバック、場合によっては守備的MFまでも絡んで数的優位を作り出し、フリーランニングに合わせて縦のスペースへパスを出す。またサイドに起点ができると、守備的MFも上がってきて、全体を見ながらの配球は精度の高いパスを操る中村直志が担当する。

いずれにしても高い位置でパスを受けて後方からの押し上げが来るまでの時間を稼げるプレイヤーと、精度の高いパスを配球できるボランチの存在が攻撃を支えている。ちょうどガンバが強かった年も同じで、配球役には遠藤がいて、ポイントにはフェルナンジーニョやマグノ・アウベスといった選手がいた。またレッズの場合も配球役に長谷部とポンテがいて、ポイントにはポンテとワシントンがいた。鹿島にはサイドバックもいれば配給役に小笠原もいて、ポイントには本山やマルキーニョスがいる。昨シーズン、小笠原が復帰してから快進撃が始まったのは決して偶然ではない。要するに、配球役とポイント、押し上げは攻撃のセオリーのひとつで、これを上手くやれればそれだけシュートチャンスを作り出せるということだ。今シーズン、ガンバやレッズが思うように勝てないのは要するにここに問題があるし、名古屋が躍進できているのはこれを上手く解決できているためだ。

そんなこんなを考えながら熱中していたイルカとシャチのどつきあいだった。

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夏の関東征伐 第一次東征2

負けが込んでいるチームほど怖いものはない。いくらなんでもそろそろ勝つだろうという気はするし、相手だって我武者羅にくるだろうし、そもそもガンバには仙台の19試合連続勝ち星なし記録を止めた実績もある。おまけに当のガンバはチームの調子がよくない。相手が最下位の千葉とはいえ、いや、だからこそ余計に気の抜けないゲームである。

●サイドの決闘
先手を取るのはやはりガンバ。立ち上がりに初撃を加えるもののJEFゴールを陥れられず。その後もガンバの攻勢が続くが、この流れをただひとりJEFの谷澤によってひっくり返される。

安田の目の前でボールを持つ谷澤。小さくフェイントを入れながら揺さぶるところへ安田、敢然と突進しボールを奪取しようとする。しかしそれは谷澤の罠だった。足裏ですっとボールを引き戻し、チョンと斜め前へ出して、身体を入れかえて安田をかわす。突進をかわされた安田も反転、懸命に追いすがり、谷澤に手を掛けてしまう。ホイッスルが鳴ってFK。そして安田に突きつけられるイエローカード。

このプレーの後は谷澤の独壇場。迂闊に飛び込めない安田が躊躇いがちなポジショニングで谷澤にドリブル、パス、シュートとあらゆる選択肢を許してしまうと、谷澤の後方から坂本も加わってガンバの左サイドを突き崩す。とはいえ、JEFには前回のFC東京ほどの連動性、機能性があるわけではなく、所詮は谷澤頼みの単独突破。中央の山口、中澤、加地がJEFのチャンスを潰してシュートを打たせない。

いっぽうガンバはといえば上手くいっているのかそうではないのか、FC東京戦よりはボールを運べているしキープもできているが、JEFが守りを固めている中央を強引にこじ開けようとして悉く弾き返されている感じだ。

●ボスナー攻略作戦
シーズン開幕ゲームのJEF戦、圧倒的に攻め込むガンバの前に聳え立ったのがエディ・ボスナー。ボスナーがいる限りクロスは届かず、パスは通らない。とうとうJEFのゴールを割ることあたわず、スコアレスドローの憂き目にあったのだった。

そのボスナーがこのゲームでも立ちはだかる。ボスナーがいる限りクロスは届かず、パスは通らない。にもかかわらずボスナー支える堅陣に向かってガンバ攻撃陣、中央からの攻めを繰り返しては虚しく弾き返されるのみ。業を煮やしたのが西野監督。攻撃に変化をつけるため陣形を変えて手持ちの佐々木を投入すると、この小柄な16番は期待に違わぬ働き振りで敵陣左サイドを蹂躙する。右の勢い増せば、左もまた盛り上がる。右が出れば左が引き、左を突けば右が備える。右から左から休むことなく攻撃すれば、JEF守備陣もたまらず引きずり出される。左右に人を裂けば今度は真ん中開くのが道理。西野監督、中央の空隙を見計らうに及んで後半40分、山崎雅人を投入する。すると運動量豊富なこのFW、疲弊しているJEF守備陣を翻弄し、いよいよJEFゴール前を混乱に陥れる。そうして後半ロスタイム、最後の力を振り絞った橋本、ルーカス、そしてこの山崎のパス交換でJEFの堅陣を切り裂きとうとうゴールを陥れた。

●用兵の妙
この勝利は西野監督に負うところが大きい。敵が真ん中を固めれば外から攻め、散じれば中を掻き回す。交代の策がいちいち嵌まり、それが決勝点の1点につながった。対するJEFのミラー監督の交代策もそれほど悪い手ではなかったように思う。しかしながらセカンドボールを支配できなかったJEFはその交代策を生かせなかった。

●バレーの離脱
う~む。これを書ききる前にバレー退団の一報。このゲームでもあまり良くなかったし、そもそもここのところ得点の匂いがしなかったから、今回の平井とのスイッチは西野監督の英断とさえ思っていたのだが、退団となるとそれはそれで困る。居るだけで脅威、シュート一本見せるだけでハッタリになる選手だったからな。

とはいえ、バレーも商売だし自分に価値があるうちに稼いだほうがいいに決まっている。クラブ側としてもこういった事態を想定して複数年契約を結んでいたのだから、売り時を失うわけにはいかない。そのあたりはこちらも理解できるから、互いに納得のできる線なら円満に送り出したい。

マグノと違っていきなり向こうの新聞に載ったわけでもなし、水本と違って我儘で出て行くわけでもなし、随分前からいろいろなオファーがあったみたいだし、昨シーズンはナ杯獲得に活躍したし、パンパシでは楽しませてくれた。お楽しみはこれからもあったと思うけど、それでもじゅうぶんガンバの為に戦ってくれたと思う。まだ退団は本決まりではないけれど、向こうへ行ったら行ったで活躍して「ガンバ経由の選手は質がいい」と思わせて欲しい。それで来年にでもACLで再開できれば。

まあ、弱小リーグの強豪チームならではかな。それもまたサッカーと思って受け容れるさ。

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夏の関東征伐 第一次征伐1

今シーズンのガンバは夏にやたら関東各地でのゲームが組まれている。先日の柏を皮切りに、今回がFC東京。日曜に千葉。翌週はホームで大分迎撃だが、8月頭からナ杯の横浜、リーグの横浜、そして大宮と関東遠征目白押しである。さしずめ夏の関東征伐キャンペーンである。そのひとつめの連戦、第一次征伐のFC東京戦である。

●要害味スタ
前回も書いたと思うが、ガンバはFC東京のホームで勝てない。万博でこてんぱんにやっても味スタでは勝てない。しかしこの度はFC東京が要害味スタを出て国立に拠るという。これは勝ちのチャンスがめぐってきたかもしれないとゲンも担いで国立へ乗り込む。

●虚を以って実と為し、実を以って虚を撃つ
先手を取ったのはガンバだった。安田のクロスからルーカスが決める。しかし、その後ゲームを支配したのはFC東京。敵ながら見惚れる時間があったほど綺麗な攻撃をしていた。まず、両サイドに数的優位を作って突破。サイドからガンバ陣深く攻め込むとガンバDF陣にクロス、パス、ドリブルの三択を突きつけ、後手を踏んだガンバDFを嘲笑うかのようにシュートチャンスを量産する。ガンバがセカンドボールを拾っても即座にボールを狩って攻撃続行。サイドに気を取られると真ん中を割り、真ん中を固めるとミドルを放つ。虚を以って実と為し、実を以って虚を撃つとはまさにこのこと。

草を刈り取るかの如き容易さで同点ゴールを得た後も、FC東京はガンバを翻弄し続け、前線から中盤が崩壊したガンバには戦術も何もなく、山口、中澤、藤ヶ谷、ただゴール前でひたすら身体を張って跳ね返すのみ。それでもFC東京、あまた放つシュートの唯の一つもゴールを捉えること能わず、遮二無二守るガンバは遂にハーフタイムへと逃げ込む。

●佐々木
山崎は動きは悪くないけどそれほど上手くはない選手で、ガンバがポゼッションできているときなら動きと繋ぎに力を発揮するけど、こういうカウンター狙いのゲームになると個人での打開能力が問われるためダメ。そんなわけで後半頭から山崎に代わって佐々木が登場。佐々木はスピードで右サイドをぶっちぎって、高速クロスを上げられる実にカウンター向きの選手である。その佐々木、期待に違わぬ働きぶりで好クロスを連発するものの、こんどはバレーがまるでダメ。動き出しの遅さが諦めを生むのか飛び込む素振りさえ見せずボールを見送る。クロスがもったいない。

●ガンバの反攻
FC東京の追撃を振り切ったガンバ、ハーフタイムに体勢を立て直して反撃に出る。嚆矢は佐々木。右サイドからゴールへ向かうクロスの数々は、FC東京の心胆寒からしめ、勢い落ちたるところを見計らってガンバ盛り返す。かてて加えてFC東京、前半の猛撃が仇となり疲労に困憊を重ねて動きは重く、いよいよガンバのパス回る。ところがこちらも鋭さなく、FC東京DF前に右往左往、あげくは立ち往生するのみ。終盤にいたり、FC東京ますますへこたれるに及んで漸くガンバの猛攻始まるけれど、時既に遅く今度は我武者羅に守ったFC東京が試合終了へと逃げ込む。かくして両チーム痛み分けにてゲームが終わり、互いに得るものは勝ち点1。双方が不満と安堵を抱えながら霞ヶ丘の地を後にした。

●欠けているピース
前半はFC東京がよかったから置くとしても、後半、ポゼッションを高めて反攻に出た時のガンバの状態は思った以上に悪く、得点の匂いがまるでしないポゼッションを延々繰り返すだけだった。何がどうかと言うと、ボールの動かし方が悪い。ガンバにせよ、この日のFC東京にせよ、ポゼッションベースで敵陣を攻略できる時のボールはM字やW字のような動きが入る。要はジグザグと動かすことでDFのマークをずらしていき、マークがずれたところでスルーパス一発、敵陣を崩壊に追い込むのだけど、このゲームでのガンバはそれができなかった。ではなぜそれができなかったのかといえば、前線がクサビを捌けなかったからだ。要はバレーの状態が悪く、シュートはおろかクサビさえまともに処理できなかった。ガンバが強いときは、このあたりで確実に時間を稼げるプレーヤーがいて、それはマグノだったりフェルだったりしたわけだが、このピースが欠けてしまった今シーズンはここ数シーズンほど得点を稼げていない。このあたりは戦い方を模索しなければならないところなのだろうって、既にシーズンも折り返し地点なのだが。

●FC東京
攻撃が素晴らしくよかったのは前述の通りだが、陰働きの浅利がまたよかった。カウンターに備えるポジショニング、ガンバボールになった瞬間のプレッシングなど前半は縦横無尽の働きでFC東京の攻撃を支え続けた。後半に入ってもこの浅利を無力化しなければ得点に繋がらないと分かる存在感だった。柏の山根といい、ベテランながら運動量を要するポジションで地味に陰働きをするプレーヤーがチームの重心となっている。Jのみどころのひとつだ。

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こんなゲームもある

日立台での柏レイソル対ガンバを見に行った。結果は0-1の敗戦。だけど悲観するような内容ではなかったし、少なくともナビスコ杯マリノス戦よりはよかった。

◆得点力不足
最終的にシュートを20本も打ちながら1点が入らなかった。もっとも20本とは言っても内容はさまざまだし、ゴール裏のこちらからはよく分からなかったシュートもあるけれど、それでも決定機を5回は作れていた。当然ながら、柏GKの菅野がよかったという面はある。いっぽうでシュートが枠に飛ばないというのもある。で、やっぱりバレーなんだけど、枠には飛ばして欲しい。西野監督もバレーが動けていないと思うのなら先発にしなくてもいいんじゃないか。

◆フランサ
得点シーン。杉山の上がりを見ながら「魔術師は忘れたころに出てくるぞ。ちゃんと捕まえてろよ」と思った直後にフランサがボールを受けて、李へのプレゼントパス。その前の時間帯でフランサが消えていたから、それなりに守備は機能しているかと思ったのだけど、途中出場の杉山によって補給ルートが生まれた感じになった。

◆橋本と明神
前半などそうだったのだけど、フランサのような強力な個がいると明神、橋本の二人ともが守備に引っ張られてなかなか攻撃に絡めない。前半の中ごろまで攻撃が上手くいかなかったのは、実にその所為だった。いっぽう後半に入るとこの二人が柏の守備的MFと対峙する格好からルーカスなどとのパスワークで前線へボールを前へ運べていた。どちらか1枚は攻撃に絡まないとなかなか形を作れないが、そうなるとフランサの如き個をある程度放さざるを得ない。難しいところだ。

◆交代選手たち
離脱者が多く、駒不足が深刻な所為もあって交代選手はフレッシュな面々。ナビスコ杯マリノス戦のヒーロー、平井はスケールの大きさを感じさせるプレーこそあったものの、全体としてはパッとせず。バレーとではなく、ルーカス、平井の2トップを見てみたいと思ったりもする。倉田はぼやけていた。キック精度も悪く、それが佐々木投入に繋がったのだと思う。その佐々木はキック精度こそよかったが時間帯のこともあって、右サイドを切れ込んでのクロスが見られなかったのは残念。ところで佐々木は安田と交代だったが、これは要するに加地のサイド突破、クロスがあまりに少なかったための措置だろう。守備を考えると加地は外せないが、如何せん攻撃となると…。これも西野監督の悩みどころだろう。

◆ガンバ
悪い状態ではなかった。むしろ遠藤がいなくても、ここまでやれることを示したと思う。あとは決定力。そんなに悠長には構えてられないけれど、目を釣り上げることもないかな、と。

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これぞレッズ

浦和レッズ対FC東京を見に行った。
早い時間帯にレッズが先制し、その後、試合全般を通じてFC東京が攻めるもののゴールが遠く、却って終了間際に永井が追加点を決めるという「レッズの嵌め型」だったが、内容そのものは白熱し、見所も多く厭きないゲームだった。

◆田中達也の復活
レッズの先制点はエジミウソンが叩き込んだものだが、その前、FC東京のディフェンスラインの裏を突いてロングボールを呼び込んだ田中達也の動き出しは素晴らしかった。田中達也はピッチの中で唯一動き出しが早く、それがゆえにボールを多く引き出せていた。エジミウソンにはこの動きはないし、途中出場の永井にもなかった。おそらく高原にも足りない部分なのだろう。だから田中達也が先発に抜擢されたのだと思う。いっぽうで長期間離脱していた影響によるスタミナ不足は顕著で、前半の途中から動けなくなって、それと共にレッズのパフォーマンスが下がっていった。とはいえ復活記念も併せて、このゲームの私的MVP。

◆FC東京の攻撃
FC東京は今年就任した城福監督によりポゼッションベースのサッカーを志向しているが、ポゼッションを意識するあまり動きの変化に乏しい感じだった。ボールを引き出す動きがないものだから、レッズの前線の3枚が動けているうちはディフェンスラインでパスを回すしかなかった。また、サイドバックはレッズのウィングバックの裏に走りこんでボールを受ければいいのに、足元でもらいたがるから攻撃に加速もつかず、前半の終わりごろまで攻撃に停滞感が漂い続けていた。それと平山。ボールコントロールなどは非常に上手い選手だと思うが、如何せん判断が遅くその技術がゴールの役に立っていない。もったいない。

◆鈴木と闘莉王
このゲームはほぼ全ての時間帯でリードしていたからかもしれないが、位置取りの低さが気になった。特に闘莉王はボランチでも守備的MFでもなく、フォアリベロのようなポジションを取ってディフェンスラインの前に張り付いているため、ディフェンスラインとトップとの距離はさほどでもないのに中盤にスペースがあって、そこを使われるとウィングバックもディフェンスラインに吸収されて更なるベタ引きのデフレスパイラルを生んでいた。

◆城福監督の選手交代
後半に入ってからのFC東京がなまじ良かっただけにどのタイミングで誰を代えるか非常に難しかったとは思うが、その遅延がゴールを奪えなかった原因のひとつだと思う。石川でも、大竹でも、ドリブルのできる選手を後半30分くらいまでに入れておけばレッズのディフェンス陣が決壊しそうだったのだが。

◆攻めも攻めたり守りも守ったり
後半30分ごろだったか非常にいいシーンがあったので書きとめておく。ちょうどFC東京が攻めていた時間帯。

(講談調に読んでください)
サイドを突破したFC東京の右クロス、いったんはレッズディフェンダーに弾かれるものの、そのこぼれ球を拾った徳永、もういちどゴール前にクロスを上げる。ゴールへ向かう絶妙クロスに川口信男、めいっぱい身体を伸ばしたジャンプにひねりを加え、ほんのわずか、すらしたボールはレッズゴール右隅へとふわり。あわや同点かと思ったその刹那、横っ飛びに伸びた都築の右手のその指の先、ピッとボールを弾いてゴールならず。美技のヘディング、渾身のセーブ。攻めも攻めたり、守りも守ったり。

◆レッズのフェルナンド・トーレスか、スペインの永井か
ユーロ2008を見ていたとき、フェルナンド・トーレスを指して「まるでレッズの永井のような選手だ」と言い合っていたのだが、まさしくそのようなゴールを決めてゲームを決定付ける。後半44分、都築のゴールキックをFC東京ディフェンダーがかぶってしまい、フリーの永井の足元に。ゴールキーパーとの1対1を確実に決めてゲーム終了。ここぞの場面で美味しいところを持って行くそのプレー振りはやはりフェルナンド・トーレスのようだった。

◆これぞレッズ
関東で生活している身の上だから周りには普通にレッズサポが居るのだが、彼らは一様に「こんな戦術のないチームじゃダメだ」と嘆く。たしかにこのゲームを見ても、攻撃は田中達也の動き出しによってのみ活性化していたし、守備は守備でチームとしてボールを奪取するやり方ではなく、ゴール前で跳ね返すやり方になっていた。そこにチーム戦術はない、と言ってよい。

でも、こちらからすると「それこそがレッズ」だと思う。レッズは得点力抜群のFWやJでも屈指の選手を獲得する事によって成長を遂げてきた。FWが奪った得点を他の優秀な選手達で守りきる試合運びによって勝利を重ねてきた。どんなに攻め込まれても最後に勝っているのはレッズ。それはレッズが範としたドイツのゲルマン魂に通じるものがあると思う。このゲームはそういった面において「これぞレッズ」の面目躍如だったと思う。

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