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新生と老練と

 2009年のJ1、序盤戦に大きな驚きを与えたのは浦和レッズだった。昨年までの個のサッカーからパスワークと運動量のポゼッションサッカーへとリニューアル。ただ、それだけなら昨シーズンに大宮やFC東京が志向したものと変わらない。しかし、レッズの場合はそれを高い技術を持つ選手と的確に指導する監督によって、より高いレベルで実現してみせている。それを牽引するのが山田直樹と原口元気。高円宮杯決勝で9得点の実績を引っさげた新人2人が発信源となって鮮烈なインパクトをJリーグに与え続けている。

 いっぽうのガンバ大阪は8年目の西野政権。時間をかけて熟成してきたポゼッションサッカーはもはや熟練の域に達している。右と思えば左、急とみせて緩。虚々実々のパスワークで相手を奔走させ、わずかにできた隙を撃ち、くたくたに疲れ果てたところで牙を剥く。何年も貫き通したスタイルは既に研究され尽くしているが、それでも老練な駆け引きでJにアジアに強さを示し続けている。

 その両チームが埼玉スタジアムでぶつかった。

 試合は序盤からレッズが食いついてくる展開。エジミウソン、山田直樹、原口、エスクデロがガンバ守備陣に襲い掛かり、その若さに乗じて鈴木、阿部、山田暢久といった中堅からベテランどころがせりあがってくる。ファーストシュートでエジミウソンはサイドネット。山田直樹のセカンドシュートは枠内と立て続けにチャンスを作られる。

 レッズの良さは若いアタッカーたちの怖いもの知らずのおもいきりと、フィンケ監督の授けた戦術で、中盤から前の局面で数的優位を作るのが異様に上手い。追い越し追い越しの連続でパス先のゾーンに数的優位を作り、その数的優位ゾーンをゴールへ向かって次々に動かしていくことで敵の陣を攻略してしまう。ただ、それだけの運動量をいつまでも続けられるわけでもなく、また攻撃のスピード自体は速いが単調なので、電池切れまで我慢できれば流れを変えられる。

 ガンバの場合は大体15分くらいでスピードに慣れ、そして20分くらいにレアンドロがカウンターからシュートまでもっていくと潮目が変わった。レッズの追い越し追い越しは前線で攻めきれる自信があるか、もしくは2、3枚での守備に絶対の自信があってこそ機能するシステムなのでレアンドロのようなスピードを持つアタッカーにディフェンスラインの裏を突かれると、腰が引けて守備の枚数を増やし、守備の枚数を増やすと攻撃の枚数が減って攻撃に支障をきたしてしまう。

 ガンバのラインが徐々に上がって老練なパスワークを開始する。レッズの守備陣は運動量こそ落ちているものの、まだまだ元気なので無理には攻めず右へ左へ、前へ後ろへ繋げながら相手を走らせ、隙あらば一撃見舞う意図だ。また一撃を見舞えなくてもこの調子でプレッシャーを与え続けて失点をしなければ、後半の中頃から主導権を完全に握れると踏んでいるのだろう。ところが、そのガンバの意図に綻びが生じる。40分のレアンドロ負傷退場だ。これが後半大きく響くことになる。

 スコアレスのまま前半を終え、後半。レアンドロ不在の影響がさっそく出る。レアンドロの交代によってカウンターでの抜け出しに気を遣わなくてもよくなったレッズは試合開始時と同じようにラインを高く保ち、攻撃に十分な人数を掛けてくる。こうなるとガンバは苦しい。またしても運動量豊富な攻撃に晒され、相手を走らせたいガンバが却って走らされる。打開策はといっても播戸や山崎では相手へのプレッシャーにならない。チョ・ジェジンへのボールも拾われて二次攻撃、三次攻撃と継続される。ただ前半のうちに慣れた所為もあってか決定機は思ったよりも少なく抑えられている。

 ようやくレッズに疲れが見え始めたのが15分を過ぎたあたりで、ここからガンバは巻き返しを図るべく安田を投入する。が、走らされたガンバは攻めに掛かるだけの体力が残されておらず、パスワークもままならず、中盤で泥仕合のような停滞を招いてしまう。すると今度はフィンケ監督がエスクデロに代えて高原。原口に代えて高橋を投入するが、これはこれで単発で頑張るも後ろが連動できない。ガンバはレアンドロに代わって入っていた播戸を山崎に代えてなおも頑張る姿勢をみせるが、両チームとも攻めきるだけの力は残されておらずそのままスコアレスドローのゲームとなった。

 レッズにはポンテがおらず、ガンバは加地、二川を欠いたこのゲーム。終始優勢だったのはレッズだった。ガンバとしてはレアンドロの負傷退場が痛すぎた。これが後半のゲームプランを一気に崩壊させてしまったといってもいい。レアンドロの代わりに槍となれる選手はいないものか。また、守備の面では加地がいればなあと思わざるを得ない。加地がいればサイドで簡単にやられることもないだろうし、橋本を守備的MFで使えるからもっと効果的に守れたんじゃないかと思う。ないものねだりである。ないものねだりついでといっちゃなんだが、レッズの山田直樹や原口のような選手はガンバにいないものだろうか。いや、いないものだろうかではなく、彼らの活躍を受けて奮起してほしい。特に寺田。失敗が許される年齢のうちに小間使いのように走り回り、思いきりのいいプレーをしてほしい。そうすることで見えてくるものがきっとある。

 レッズはいいサッカーをしていると思う。いっぽうで一巡りした後が勝負になるとも思う。ポジションが流動的ではあるものの、アタッキングサードに入るまでのパスワークはオートマチックっぽいところがあるため分析されて対応されたあとの引き出しが重要になるのではないかな、と。また運動量を使うサッカーなので疲労が溜まる夏場以降にどうなるか。志向しているサッカーは魅力的なものだから、大宮やFC東京のようにひよったりせず貫徹してほしい。

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コメント

久しぶりの更新
楽しみにしていました

置きみやげはインフルエンザ
なんて洒落にならないので(笑

夏の万博で!

投稿: otou | 2009年5月18日 (月) 21時05分

>otouさん
どうもです。
最近は新型に限らず、体調不良の方が多く見受けられますので
風邪っぴきにならないようお互い気をつけましょう。

投稿: sgmt | 2009年5月20日 (水) 06時36分

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